今回は守口敬仁会病院の岡 博史院長と、地域の中での守口敬仁会病院の役割や展望について編集長の大嶋が対談を行いました。
守口市を中心とする地域の医療に広く貢献される、その内容や今後の構想等についてお話いただきました。
守口敬仁会病院の地域医療に対する取り組みとその具体的な内容

守口敬仁会病院の沿革について

故会長の父がその病院の債務処理を行ない、その後を私が引きついだ形となります。
また、25年使用してきたこの「敬任会」という名前も2017年1月に「敬仁会」と変更しました。
この「任」という文字は、数々の思い入れや歴史を感じさせる文字でありましたが、読みにくいという意見もあり、患者さんに親しみを持ってもらいたい、また、新時代に向かって進み続ける職員達にとって、忘れてはならない医療人の心につながる語という点を考慮しました。
医療人の心という意味では、「医は仁術なり」という言葉が、人間の道徳観、倫理観を中心に「仁」があり、最も重要な徳の一つで、人間の根源的な愛の形を表すことから、医療人の原点に返り、「仁」を「敬(う)」病院として「敬仁会」とあらためました。
現在は年に2600~2700件ほどの救急車を受け入れており、私自身が専門とする外科の分野、そして副院長達が専門としている消化器科・循環器内科・内科・整形外科等を中心とした救急を行っています。
もちろん他科の疾患も積極的に受け入れを行っています。
私たちが「地域に密着した高度な急性期医療の提供」を理念と掲げ、地域において認められる施設を目指して邁進しています。

地域の中での敬仁会の役割

ただ、急性期病院として地域の救急医療の一次救急、二次救急、外科消化器に関しては三次救急まで対応します。
地域に関しても守口に限らず、北河内地区では他の病院からの緊急の手術は24時間365日ほぼ対応しています。そして術後のフォローは地域の先生方と連携を取りながら進めています。

急性期病院ということですが、どの様な患者さんが多いですか?

特に胃癌や大腸癌など消化器科のがん症例は、紹介や通常の外来患者を含め、この数年増加の傾向にあります。


更に近隣の先生方からの検査依頼や受診依頼、相談などを多く受けています。
また消化器内視鏡検査や治療を、年間10000件以上実施しています。内視鏡検査後のがん疾患の発覚後のほとんどの患者さんは、当院での治療を望まれます。


癌の患者さんの受け皿としては、再発、在宅治療に移ると言う面で苦労することも確かにありますが、色々な工夫を行っています。
一つは、癌患者さんの連携パスを府下ではかなり早期に導入しました。
この癌の連携パスというのは、術後に開業医の先生方または療養型病院の先生方と役割分担を行ないながら、診療・検査等をスムーズに行えるようにするものです。
これによって、病診連携を取りながらスムーズな診療、検査などを実現できています。
やはり、がんの患者さんには綿密な病診連携が必要ですし、特に在宅診療が増えている昨今では、在宅診療を中心に行っておられる先生方と連携を強化しています。


診療所と病院と救急や薬剤師さんなどでケアマネジメントをツールとして情報共有を進め協働を実現しています。
患者さんの承諾を得て、処方内容、既往歴、治療内容等を診療所主治医と病院主治医がシステム化し医療情報を共有しています。
もちろんセキュリティーにも細心の注意を払い、情報漏洩を防止しています
当院では、今年の2月から地域連携システム(Keijinkai-NET)を導入し診療情報の共有を行っています。
そこに登録して頂ければ、たった数行の紹介状だけではわからなかった事も全てがわかります。
特に、慢性疾患や癌患者さんの長期フォローには非常に効果的です。
画像、血液データなどがバラバラに伝えられるのではなく、一カ所で全てが解り、スムーズな治療を行うことが出来るという、大きなメリットがあります。
今後、地域連携システム(Keijinkai-NET)を利用していただける方を増やして行きたいと考えます。
節目の25周年を迎え、もうすぐ26周年を迎える今、何か将来的な構想は


ハード面としては開設26年を迎えるにあたり、より公益性があり、社会貢献度の高い病院を目指し社会医療法人の認可を受ける予定です。
それに伴って、環境面を整備する必要があります。12年前に新館(外来・病棟)を建設し患者さん達の環境改善を行いました。旧館にはMRI,心臓カテーテル室、高性能CTなどをそろえていますが、医療機器や多種多様な医材料の増加により狭く、老朽化も進んでいます。そのため全面的な立て替えを現在検討しています。
つまりハード面もソフト面からも、少々の事では信頼が揺るがない良質な病院を目ざして進んでいきたいと思っています。
当院は20数年かけて信頼を構築してきましたが、やはり信頼というのはすぐに失われてしまいます。常日頃より、患者さんとしっかり向き合う事、そして我々がビジョンとしている「患者さんは自分の家族と思って対応しましょう」と日々伝えています。
良いスタッフが、良質な医療を提供して評価を得るという病院を目指しています。
守口市の地域医療レベルと現状と問題点

守口市は大学病院がある点など、一概に門真市と同様には考えられませんが、病診連携にもっともっと力を入れる事も必要だとは感じています。介護、薬局、MSW、ケアマネージャーさん等も交えてケースカンファレンスが定期開催され、顔の見える病診や介護との連携を進めている地域もあります。
個々の医療機関が極時に活動するのではなく、守口市が中心になって急性期病院と開業医、各種施設等の地域連携の基礎の確立を積極的に推奨が必要と考えます。
システム化する事によりタイムリーに情報提供でき、医療サービスの質を高くする事となるでしょう。
そして、開業医(在宅主治医)をサポートする事につながると思います。


ただ、それは患者さんがそもそもそういう体制を知らないというケースも多いと感じます。だから私は、そういう話しも診療が終わってから患者さんにお話しします。
かかりつけ医を持って、適切な科を紹介してもらう仕組を啓蒙しています。それも医師の仕事だと思っています。



敬仁会病院は地域の中でも救急の分野で貢献されておられます。
またお話の中で出た、顔の見える病診連携という点では、敬仁会様主催で北大阪病診連携懇話会という意見交換の場を設けられており、そちらはもう20回も開催されています。
また消化器専門の懇話会も11月で9回目の開催を迎え、さらに連携を強められています。
今後も敬仁会病院の様々な取り組みに注目していきたいですね。
岡 博史院長ありがとうございました。
病院名 | 守口敬仁会病院 |
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所在地 | 〒570-0021 大阪府守口市八雲東町2丁目47-12 |
受付時間 | 午前8:30~午前11:30 |
休診日 | 日曜日、祝日 |
公式ホームページ | http://keijinkai-hp.net/ |