今回は「在宅医療」について、守口市でアイル在宅医療クリニックを開院されている東 功院長に伺いました。薬剤師さんや訪問看護さんとの連携、訪問看護を利用する際の条件等についても掲載しているのでご確認ください!
今回は「在宅医療」について、守口市でアイル在宅医療クリニックを開院されている東 功院長に伺いました。この記事を読んで、疑問や不安を解消しましょう!
それでは早速、内容をみていきましょう!
在宅医療について
在宅医療の定義は?

訪問してくれる人はどんな人なのでしょうか?

『住み慣れた自宅で治療を受けたい。』という思いに応えるために、定期的に医師が訪問して患者さんの【健康管理・診断・治療】を行います。
具体的には、
まず、「月に2回、伺います。」といった内容を含む契約書などの書類にサインしていただきます。(回数は病状によって変わります。)
そして、第1・第3水曜日の午後4時というように毎月決められた日時に患者さんのお宅を訪問します。
この”定期的に”というのが、在宅医療の条件の一つです。
また、在宅医療というのは医院だけではなく”チーム”で動きます。
例えば点滴が必要な方の場合、訪問看護さんに来ていただきます。
薬の配達が必要な場合は薬剤師の方に来ていただきます。ヘルパーにも協力していただいて、療養環境を整えていきます。
このように”在宅医療チーム”として患者さんを含むみんなで手を組みます。
この”在宅医療チーム”において介護プランを作成するのがケアマネジャーです。
ケアプランという介護の計画書を作成し、デイサービス、ヘルパー、リハビリ、訪問看護がどのような割合で利用者様のお宅へ伺うかを決めます。
(医師の訪問回数は病状によって変化します。)
そのため、まず利用者様がケアマネジャーを見つけ、
その後にケアマネジャーから我々のところに連絡があり、利用者様のお宅へに伺うというケースが多いです。
「往診」「訪問診療」との違い


【往診とは】
契約書を事前に結び、必要な時だけではなく毎月必ず訪問する「在宅医療」に対し、
「往診」というのは、緊急性が高く1回のみの場合が多いです。
【訪問診療とは】
「訪問診療」と「在宅医療」というのは、ほぼ同義語であると考えていただいて結構です。
在宅医療でできることは?


在宅療法として下記のような5つの療法を紹介させていただきます。
【在宅人工呼吸療法】
患者さんのご自宅に酸素濃縮装置や人工呼吸器を置くことができます。
酸素濃縮装置
室内の空気から酸素を濃縮する機械
人工呼吸器
呼吸の補助(過剰にたまった二酸化炭素の排出、酸素の取り込みの促進)をおこなう機械
それらの管理をするのが、在宅人工呼吸療法です。
【排泄補助療法】
患者さんの中には「バルーン」という排尿のための管を入れたままの方もいらっしゃいます。
そういった方の管を入れ替えることも「排泄補助療法」のひとつです。
また、大腸がんの患者さんに多いのですが、腸に直接穴を開けて便が出るようにする「人工肛門」というものがあります。
その管理をするのも「排泄補助療法」のひとつです。
【在宅注射療法】
インスリンや、その他モルヒネなど麻薬などの管理ですね。
「緩和医療」という苦しみを予防したり和らげたりする医療行為で、癌の末期の方が多いですね。
24時間注入するような機械の管理や点滴の管理も含まれます。
【栄養補助療法】
栄養補助療法は大きく分けて「胃から」と「血管から」との2つに大別されます。
《胃から》
こちらは胃瘻(いろう)といい、胃に開けられた穴に器具を取り付け、それを介し胃に直接栄養を入れる長期栄養管理法を意味します。
器具が古くなると物が通らなくなるので、定期的に入れ替えるなどの管理が必要になります。
《血管から》
こちらはまず「ポート」という装置を皮下に植え込みます。
この装置の一部が皮下で血管とつながっているので、毎回血管を探し血管に刺さなくても、その埋め込まれた装置にさすだけで点滴ができます。(※下図参照)
この装置の管理もまた必要になります。
【補助腎臓療法】
患者さんの多くは透析の施設に入院されるので当院ではしておりませんが、在宅人工透析をしているところもあります。
在宅医療の対象となるのはどのような人?


「在宅医療」の対象者は、外に出られず通院のできない方です。
外出可能な方や一時的な怪我の方は利用できません。利用できる方は、
- 高齢などで足腰が弱って外出が慢性的に困難になっている方
- 難病で歩行困難な方
- 神経疾患で歩行困難な方
- がんで動けない方
等が在宅医療の対象者となります。
そのため、“一般の方が急に怪我したから”や“通院しづらいので”という理由で「在宅医療」を利用することは出来ません。
その場合は「往診」をクリニックに頼むか、介護タクシーなどを呼び通院していただく必要があります。
しかし、外に出られる方でも認知症の方は「在宅医療」を利用することが出来ます。
外に出ても、すぐに迷ってしまいますからね。
また、守口市には6つの地域包括センターがあり、そこから連絡を頂くこともあります。
「近所の方から、(病院にも行かずに非常に状態が悪くみえますが、大丈夫なのでしょうか?)」という連絡を頂き、実際に伺うと
家がひどいことになっていて、踏み込んでいくと人が倒れていたということもあります。
その際には我々が主治医の意見書を作成し介護度を出して、地域の人々を含んだみんなで”チーム”として支えていくことになります。
このように最後は自宅で過ごしたいという方だけでなく、一人で身寄りのない方が地域の支えによって治療を受けるようになるということも結構あります。
在宅医療の費用について
在宅医療を利用する際の費用について


「在宅医療」を利用する場合、病院に行かなくて良いのでタクシー代や電車代などの交通費がかかりません。
そのため単純に金額を比較することはできませんが、例えば1割負担の方でいうと
月に2回「在宅医療」を受ける場合、個人宅の場合(1割負担)、大体6~7,000円の診療代がかかり血液検査等が加われば、その費用が別途加わります。施設に入所されている方であれば2,000円程度の診療代になります。
それに比べ、同じ方が病院や医院に通院した場合、1回200円、2回で400円の診療代に薬代を足した金額で済むので、「在宅医療」を利用する場合は月々大体数千円多く支払わなければなりません。
在宅医療で適用される保険の種類は?


一般的な医院に行く際に利用する保険と同じです。
しかし、自宅で医療を受けられるということで保険の負担割合は通常の通院よりも高くなります。
おおよそになりますが、
1割負担の方は上限1万2千円、
3割負担の方で上限4万4千4百円ですね。
ただ、70歳以上の方であれば基本的に1割もしくは2割負担になります。さらに75歳以上の後期高齢者であれば1割負担になります。
また、生活保護受給者は負担なしです。
在宅医療に適用される助成金はある?


助成金という形ではないのですが、医療の一部助成という制度はあります。
障がい者、乳幼児、ひとり親家庭の治療費(1回)の上限は500円で、それを超えた金額は後々返金されます。
月二回であれば1000円という上限があるので、上述した方であれば、これ以上払う必要はありません。また、難病の方も助成金ではないですが、一部助成という形で上限金額が変わります。
個人の所得によって変わるのですが、所得が全く無いという方は0円から、所得がある方は上限1万円までです。
負担金が1万2千円の方も障害があれば、上限が500円になります。
在宅医療を受ける場合の家族の負担について
精神面、体力面等のそれぞれの面で考えられる負担は?


【精神面】
家で看取りをする場合、まず心の準備が必要になってきます。
例えば、がんの末期の方の場合
患者さんが本当に苦しんでいる状況の中、そのご家族が看取っていくことになります。
もちろん痛みがあれば痛みを取るために、我々が鎮痛剤や麻薬などを調整するのですが、
それでも「痛いよ、痛いよ」「しんどいよ」と呼吸が荒くなってくることがあります。
そういうことに耐えられる家族、家で看取るんだという覚悟がある家族であれば大丈夫です。しかし
耐えられない場合、最後は救急車を呼んでしまうケースがあるのも事実です。まずは家族がしっかりとその心の準備が必要なんでしょうね
それでも家で看取ることができるというのは、大きなメリットですね。
【体力面】
病院と違い、家で看取る場合では家族はそれなりに動かないといけません。
今病院や介護施設などに預けた場合、例えば、『三度の食事』『排泄』『発熱』などをきちんと管理・看病してくれます。
それを家で看るということになると、しっかりと見てあげることの出来る方がご家族の中に必要です。
ただご家族がいない方、もしくは日中働いている方もいらっしゃいます。
そういった場合にはヘルパーさんや訪問看護の方が動いてくれます。
そのため実質上は全部が負担になるというわけではないです。
在宅医療か療養型の病院かの選択は本人の意志、ご家族と本人との関係性で決まることが多いです。

東 功院長、ありがとうございました!
名称 | 医療法人健仁会 アイル在宅医療クリニック |
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所在地 | 大阪府守口市寺内町2-7-3 サンキュービル2階 |
診療時間 | 365日×24時間 相談・対応 ※詳細はHPをご覧ください。 |
公式ホームページ | https://www.airu-cl.com/ |