今回は大腸がんについて気になるお話を、関西医科大学総合医療センター 消化管外科 病院准教授 徳原 克治先生に伺ってきました!
「大腸がんってどうやって発症するんだろう?」
「大腸がんは痛いの?」
大腸がんと聞くと、多くの疑問がでてきますよね。
この記事を読んで疑問や不安を解消してくださいね。
さて、早速伺ったお話の内容をお伝えします!
大腸がんについて

大腸がんについてお話を伺いたいのですが、まずそもそも大腸がんとはどのような病気なのですか?

これらをDe novo(デノボ)タイプと呼びます。


年齢や性別の特徴は?




そして死亡数に関しても全体の中で2位、男女の内訳として男性は肺がんに次いで2位、女性では1位です。つまり、がん種の中でも大腸がんは患者さんの多いがんと言えます。
死亡数が多い為、死亡する恐れが大きいとお考えになる人もいらっしゃいますが、罹患数自体が多い為、死亡数も多くなっているだけであり、実は5年生存率という数値は7割程度あります。つまり簡単に言うと、病気になりやすいが、比較的、予後が良い病気であると言えます。
がんになると痛いのですか?死に至る恐れは?

具体的な症状としては、腫瘍が大きくなると、腸管の内腔というのは左右で異なりますが直径2,3センチ程度ですので、腸の中が詰まってしまいます。そうなると便がその先に流れない為、腸閉塞を発症してしまいます。症状として腹痛、お腹の張り、吐き気、嘔吐があります。また腫瘍からの出血の結果、下血が見られたり、またリンパ節への転移が起き、神経痛を発症することもあります。




大腸がんの初期症状について







大腸がんの予防について
どのような生活を送れば良い?検査の重要性は

守口市では40歳以上の方は大腸がん検診が受診可能です。大腸がんに関して有用性が認められている便潜血反応検査を2度行いますが、1度でも便潜血陽性という結果が出れば、必ず大腸内視鏡検査を受けてください。そうすればポリープの段階や早期がんの段階で見つける事も可能です。その場合は、根治することは十分可能です。
内視鏡検査は当院やその他の病院でも受診可能ですし、地域の消化器内科を標榜されている診療所でも受けることは可能です。
がんの早期発見のためにも、日頃の定期的な検診を心がけましょう。
腫瘍マーカーについて


つまり腫瘍マーカーが正常だからがんではないとは言えないということです。逆に高ければがんの恐れが非常に大きいとは言えますので、有用な検査ではあります。




内視鏡の費用や負担は?

費用については病理の検査で何も病変もなかった場合は3割負担で1万円程度です。
逆に精密検査が必要になった場合は処置内容によってかわってきます。
食生活や喫煙について

大腸がんの患者さんの数は1990年以降、現在まで増加傾向にあります。
この原因として一番言われていることは、食生活の欧米化です。日本人は太古より、野菜、穀物を食べて食物繊維を摂取していました。それに加えてある程度の運動量がありました。
しかし、ここ3,40年で急速に生活様式、食生活が欧米化しています。
具体的には下記のことが挙げられます。
- 野菜・穀物の摂取不足
- 赤身の肉、加工肉を食べる機会が増えたこと
- 飲酒量の増加
- 運動不足
- 肥満傾向の方の増加
このことから、予防としては、摂取を抑えるほうが良い物はほどほどに、野菜・穀物を十分に摂取し、適度な運動を心がけることが重要です。また喫煙は止めることも重要ですね。


ステージという言葉の意味、分類の基準は?

- 壁深達度
5層に分かれた大腸の壁の、どの層までがんが達しているか - 所属リンパ節の転移の有無、及び個数
大腸がんがある場所の近くにあるリンパ節の転移レベル - 遠隔転移の有無
肝転移や、肺転移などの遠隔転移があるか
その基準を基に
(早期)0→1→2→3A→3B→4(進行)
という分類が日本の大腸がん取扱い規約で定められた基準です。
再発の可能性は
ステージ0,1の場合:10%を大きく下回ります。
ステージ2の場合:10数%
ステージ3の場合:30%を超え、3Bに至っては40%を超えます。
ステージ2と3で大きく分かれます。
ステージ2はいくら腫瘍のサイズが大きくても、所属リンパ節への転移が見られない場合はステージ2と判断されます。
一方、ステージ3は腫瘍の大小に関わらず、所属リンパ節への転移が1個でもあれば3A、4個以上であれば3Bと判断されます。つまり、腫瘍の大きさも重要ですが、所属リンパ節への転移の個数も予後に大きな影響を与えます。
大腸がん治療法について
初期段階の治療

大腸がんの新しい手術治療、腹腔鏡手術について

開腹術の場合は、手で小腸などを押さえながら手術を行います。一方、腹腔鏡手術の際は、二酸化炭素をお腹の中に送り込み、重力の力を借りて行います。例えば患者さんの体勢を変えて、頭を下にすると小腸が頭の方へ移動します。その状況で手術を行うことによって、患部以外の臓器を愛護的に扱えるというメリットがあります。
その為、我々の施設では術後1週間程度で退院が可能です。開腹術も退院までの期間はさほど変わりはしませんが、痛みも残りやすく、また臓器の癒着の不安もあります。




内視鏡技術認定制度について


この制度は、約10年前から日本内視鏡外科学会が設けた制度です。
学会の主催で、腹腔鏡手術の生ビデオをノーカットで提出し、審査委員が減点方式で採点を行います。
減点方式なので、非常に難易度が高くなっています。
大腸領域については25%程の合格率となっています。







関西大医科大学 総合医療センターの取り組み

- 下部進行直腸がんに対する周術期化学療法
- 下部進行直腸がんに対する腹腔鏡下骨盤リンパ節郭清
この2点にこだわりを持っています。
これらは臨床研究として行い、データを集め、解析し、今後この有効性を報告していきたいと考えています。
この治療により、直腸がん患者さんの予後がよくなるという信念をもって、治療に当たらせていただいています。
徳原 克治先生ありがとうございました。
大腸がんと聞くと怖い病気ということは分かりますが、がんになったらどういうことが起きるのか、治るのか等詳しいことは知りませんでした。
先生からのお話を聞いて、予防できることや、食生活が影響していることなど沢山の新たな発見もありましたね。
これからも皆さんに正確な医療情報を伝えていきます!!
病院名 | 関西医科大学総合医療センター |
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所在地 | 〒570-8507 大阪府守口市文園町10-15 |
受付時間 | 【初診】午前8:30~午前11:30 【再診】開門時(午前7:30)~午前11:30(特殊外来を除く) |
休診日 | 日曜日、祝日、第二・第四土曜日、年末年始(12月29日~1月3日) |
公式ホームページ | http://www.kmu.ac.jp/takii/index.html |